The fall is forest vol.37




甲高い声。

みんなが好奇と怪訝が入り混じった面持ちで見上げるその声の先、
揺るぎない幹が上へと伸びる力を貯めている中心部に、
それはまさに、「出番を待っていました」というポーズを決めている。
いかにも「注目してください」と言わんばかりの表情、
空を仰ぐように遠くを見つめながらも
意識はしっかり、いや、ちゃっかりこちらに向けている。
その体勢は浮いているかのごとく見せかけ、
その実、幹の僅かな凹凸に踵を踏ん張り、絶妙なバランスを保っているのだ。
どうやら、我々が気づき、注目が集中するのを待っていたようである。
また、こともあろうに、両手を僕らのいる下方にかざし、
「汝らに何かを与えん。」といった風情。
そして、先ほど発せられた甲高い声色。

いやはや、なんとも神経を逆なでされる。


僕も、僕以外のみんなも、予想だにしないそれの登場の仕方に、
目と心が泳いでいるようだ。
ピリーリとブルーノに関しては、溜息をついてそっぽを向いている。




僕の名前は「モリラ」。
僕は、とうとう、なんだかんだでここに来た。
『いちばんおおきな木』に。

みんなの沈黙による緊張が耐えがたくなった時、
そいつは突然、堰を切ったように突然喋りだした。

「み、みなさん…あ、いや、み、皆さまの到着…ご到着を
私…ワタクシは、心より、あ…ワタクシというのはここの、
ここ木を守るために…ええと…」

声は大きいが、うわずった口調で何がなんだかわからない。



「あんただあれーー?」
「降りてきなさいよーーー!」
「そんなとこいたらあぶないからーーーー!!」

森に穴を開けたヤツラがそいつの喋りをバッサリと切るように
大声を出すと、

「あ、ハイ!!ただいまそちらに!!」
とあっさりと従い、降りてくる様子。


ピリーリは手で目を覆うような仕草で溜息。
ブルーノは関心すら無さそうに鼻歌を歌っている。


僕はと言えば、初めて会うはずであるそいつのもつ雰囲気に、
なぜか懐かしさを感じていた。
photo by eena x exsoup
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