The fall is forest vol.31





僕の名前は「モリラ」。
あと、これはボンヤリなんだけど、
「今の僕になる前の僕」ってのがあったみたい。


そのことを、思い出そうとしてるのに、
コイツら3匹がせっせと僕を担いで運ぶもんだから、
揺れちゃって揺れちゃって。

金色の草地の奥のさらに奥、木々の背は次第に高くなっていく。
ひんやりした林の中を僕は揺すられながら、時々落とされながら運ばれ、
ようやく一本の木の前で止まって、僕は乱暴に落とされただの。
で、次は、「これに登るの。さあ。」って。

事態がよく呑み込めず、今の記憶と前の記憶がごちゃごちゃしていて、
僕は心が忙しい。僕の呆けた様子がイヤなのか、3匹はイライラしているようだ。

「ちょっと、さっきから、いや、前々から?なんなんだの?」
僕は感じたままを言ってみたけど、まったく聞いていないようだ。

有無を言わさず、青いのと、緑のと、オレンジのが代わる代わる下からグイグイ押し上げるもんだから、
結局、嫌々登る羽目になったけど、なんだの?これ。


そんで、木が二股に分かれたところまで登ると、
そこにはピリーリが待ってただの。

僕はピリーリに会いたかっただので、ようやく話せると思って、
嬉しくて近寄ろうとさらに足を上げると、


「ピィヤァァーーー!!そこでぇい!!」
「そこで止まれぇい!!コノヤロー!!」って。


ピリーリに言われりゃそうするけど…
久々に話せるってのに、なんなんだの…

その後も、

「コッチ見てんじゃじゃねえ!!アッチを見ろ!!」
「光の指す方角でぃ!!あれが『いちばんおおきな木』でぃ!!」

って、怒鳴るんだの。



僕はピリーリに会いたくて、ピリーリを探そうとして、
遠くを見渡せる『いちばんおおきな木』に登ろうとしていただけだの。
だからもういいんだの。って言いかけたんだけど、





「モリラ!おめぇがもどる時がきた!よかったなぁ!!」

って、ピリーリが。





(もどる?僕が?何にだの?)




不意を突かれ、言葉が出なかっただの。
僕の心はさらに忙しくごちゃごちゃしてきただの。


僕の足元では3匹が押し黙って光の指す方角を見つめていただの。
photo by eena x exsoup
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